バスケットボールは、1891年12月、マサチューセッツ州のスプリングフィールドにあるYMCA訓練学校で誕生した。カナダ生まれの新任教師ジェームズ・ネイスミス(図5)は、上司ルーサー・ギューリックから、屋外での運動ができない雪の深い冬にも、学生たちが十分に体を動かすことができ、かつお金がかからず、安全な球技を作れないかと問われ、試行錯誤の末にバスケットボールを考案した。この新しい球技は、見事にギューリックの条件をクリアし、しかも学生たちに大いに人気を博した。YMCAのネットワークを通じて、さらには、セツルメントハウス運動、プレイグラウンド運動、体育普及運動など、この時代の諸運動の波に乗り、全国各都市の労働者、エスニックマイノリティ、移民など下層社会のコミュニティに広まっていった。バスケットボールはやがて、初等・中等学校にも導入され、それによって次第に社会の上層部へも支持を拡大させてゆく。