これをご覧になっている方の中には、
多くの生き物を観察したり、実験の経験豊富な方も
いらっしゃると思います。
それでもまだまだ、生物の多様さ、面白さを実感することがあります。
今回、『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』の
「2章マイクロハイメノプテラ:小さなハチの華麗な世界」の原稿を
受け取りました。
多くの画像のなかに、ひときわ印象的なものが。
まずタマゴクロバチの一種。
「0.5mmのシャープペンの芯と比べても、
その特徴は明らかだ」
と、筆者の松尾和典氏(九大)が言われているように、
そのサイズ感とプロポーションの奇妙さ、
目を奪われませんか?
「葉や樹皮の隙間などの狭い場所に卵に自らの卵を産み付けるため、
このように平たい体形になっているのだろう」
とされます。
次には、「世界最小の昆虫」という異名をもつ種。
北米に生息する体長0.139mmのホソハネコバチの一種、
Dicopomorpha echmepterygisのオス成虫。
そのサイズは、単細胞生物のゾウリムシと、
またはヒト卵細胞とも同程度。
このサイズですので、
さすがに各器官も小さかったり、無かったりという状態です。
オス成虫には、
複眼/単眼、
口器、
翅
がないようです。
あるのは、
退化した触覚、
退化した脚、
そして生殖器官のある腹部
となっています。
対してメスは、体長0.5ミリと
オスの数倍の大きさで、
眼、翅という器官も持っています。
なぜ、このような違いができたか。
それは、メスとオスの生活史の違いにあるようです。
メスはチャタテムシの一種に産卵します。
オスは卵の中かすぐ近くで交尾をおこない、
すぐに生涯を終えるようです。
メスは産卵できるチャタテムシ卵を探すための
冒険にでなくてはなりません。
このような役割の違いが、
はっきりとした性的二型につながっているのかもしれません。
なお、この章はひときわ写真が多く、
1章13ページのなかに、16点もの写真があります。
いずれも美しく、印象的な写真ばかりですので、
レイアウト作成でも少し気を配りました。
レイアウト作成を、最初から最後まで、
記録した動画では、小さなハチたちが、
どれほどの種数が紹介され、
どのような写真が掲載されているかを
実感できます。
動画はこちらから。
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一色出版では、
動画を含めたオンライン版で、
内容すべてが読める本を刊行しています。
文章だけでは伝わらない臨場感を、
動画で視聴できます。
また、本では白黒で小さくなった写真も、
カラーぼ高解像写真で見られます。
お手元のスマホやPCで、
いつでも生物の不思議さを体験してみてください。