(この記事は2020年6月15日に一色出版メルマガとして配信したものです)
性に関する話題は多くの人の興味を惹きつけ、
その証拠に、一色出版の記事でもよく読まれるものとして上位にランクされます。
性にまつわる話題はバラエティーに富んでいますが、
今回は6月のジューンブライドにちなみ、
カップリングにおける儀式、婚姻贈呈について
見てみたいと思います。
(今回の内容は『昆虫たちの不思議な性の世界』[大場裕一編著、2018年]をもとにしています)
おはようございます。
一色出版の岩井峰人から、
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メスにプレゼントをわたす昆虫=ガガンボモドキドキ
まず一つ目に取り上げるのは、ガガンボモドキ。
昆虫ではこのグループ以外でも、
複数のグループでオスからメスへの
プレゼントが知られています。
ただ、ガガンボモドキでは、
より奇妙な行動がみられるようです。
ガガンボモドキのオスは、狩りによってとらえたハエなどを、
メスにプレゼントします。
メスがそのプレゼントを気に入って、
質と量ともに満足するものであれば、
交尾を受け入れます。
このような話は人間の男女間でも
聞かれるものですね。
ただ、さらに話は続きがあります。
プレゼントを用意したオスから、
別のオスがそのプレゼントを奪い取って、
メスに贈呈してしまうこと、
さらに、メスになりすまして、
プレゼントをもつオスを騙して、
プレゼントを貰い受けるオスまでいるようです。
人間でも女性に対してプレゼント攻勢は有効であることが
経験的に知られているのではないでしょうか。
(検証されたかはわかりませんが)
カップリングのために、
ここまで巧妙な手口を発達させたガガンボモドキ。
もし人間であったら、
スキャンダルの絶えない男性になってしまったかもしれませんね。
メスにプレゼントをわたす昆虫=キリギリス
続けて紹介するのは、キリギリス。
キリギリスの一種のオスは交尾するとき、
精包という、精子とともに栄養を含んだ塊を
メスのお腹あたりに付けます。
なぜこのような行動をするのか、検証された結果、
精包の大きさがメスの産卵に影響することがわかったようです。
つまり、精包が大きいほど、より確実にメスの体内に精子を送り込むことができ、
また産卵数も増えることがわかっています。
しかし、このキリギリスの例のように
本当にこの婚姻贈呈という儀式は、
昆虫たちの生存、生き残りにおいて
何か役立っているのでしょうか。
下のような研究成果は、この疑問に答えることになるかもしれません。
メスにプレゼントをわたす昆虫=フタホシコオロギ
実際に調べられたのは、フタホシコオロギによる婚姻贈呈です。
この調査では、
・メスとオスとを強制的にカップリング・交尾させた場合
・様々なオスの中からメスに選択させてカップリング・交尾させた場合
という2つの形で、産卵数の多い少ないを調べました。
結果は、メスに選択させた方が産卵数が多くなルことがわかりました。
さらに子の成長速度や生存率も高くなることも確認されたようです。
婚姻贈呈というやや回りくどい方法も、
昆虫たちの進化を促す原動力になったと言えるかもしれません。