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『ゆるふわ昆虫図鑑」がシリーズ化されて、
相当に広い範囲で好評を受けているようです。
この本のように、昆虫を擬人化することは
映画、民話などにもよく見られ、
好まれているのがわかります。
来年の出版企画の一つには、
このようなものを入れたいと考えています。
今回のメルマガは
もしハチたちが独り言を言ったら、
という形にしてみました。
おはようございます。
一色出版の岩井峰人から、
メルマガをお届けしています(年中無休、毎週月曜の更新)。
誰の独り言か、簡単な
クイズ形式にしてみました。
下の独り言は誰のものでしょうか?
(以下の内容は『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』をもとにしています)
Q1
「私は夕暮れ時の薄暗い森の中を、いつも活動している。
私の大きな単眼があれば、
わずかな月明かりでも自由に飛び回ることできる。
夜間に活動するので
黒い色素を身にまとう必要がなく、
黄色い体をしている。」
声の正体はこのかた。
正解は↓↓↓↓
サキグロホシアメバチ(Enicospilus ramidulus)。ヤガ類の幼虫に寄生する。夕暮れから夜間にかけて活動する寄生バチの多くが、黄色い体に長い触角と大きな単眼をもっている。写真提供:清水 壮。
Q2 これは誰でしょうか。
「まだ少し眠い。
寄生バチには昼間活発に動き回るものが多いが、
日暮れ前から明け方までが私の時間だ。
花蜜や露つゆをすすってお腹をみたしたら、
チョウやガの幼虫を探しにいこう。
葉っぱのうえで動く幼虫を見つけたら追いかけて産卵管を突き刺し、
1個だけ卵を産み込む。
幼虫の強靭きょうじんな皮膚を
瞬時に貫くことができる産卵管は私の宝物だ。」
声の正体はこのかた。
正解は↓↓↓↓
ギンケハラボソコマユバチ。クワゴマダラヒトリの幼虫に産卵している。写真提供:杉浦真治。
Q3 これは誰でしょうか。
「寄生バチは昆虫食のものが多いが、
私は熱帯の植物に寄生するベジタリアン。
もっぱらイチジク類の雌花を食す。
私たちが食すと同時に
花粉媒介しているので、
熱帯林のイチジクはオールシーズンで
花を咲かせ、果実をつけることができている」
声の正体はこのかた。
正解は↓↓↓↓
イヌビワコバチ。写真提供:松尾和典。
交尾は果実の中で行われるので、
オス(左)は翅を持たず、メス(右)を巡って
戦うのに適した鎧のような作りをしている。
Q4
「寄生バチでは、
細くくびれた腰が魅力的なこともあるが、
自分の場合、大胆な寸胴型のフォルム
を継続している。
比較的原始的とされる自分たちだが、
キノコと共生できるという特権を持っている。
それによって、
針葉樹も広葉樹も、
木質を分解、液状化して摂取できている。」
声の正体はこのかた。
正解は↓↓↓↓
クロヒラアシキバチ。
キバチ類は、メスが産卵管を木に突き刺して産卵します。
この時に、卵とは別に2つの物質を注入しています。
一つは木を弱らせる毒液(ミューカス)、
もう一つは担子菌類、つまりキノコ。
母バチのお腹には袋状の器官があり、
そこには菌糸が詰まっています。
これを注入することによって
幼虫が木を摂取しやすくなります。
同時にキノコにとっては、キバチは新たな宿主に
植えつけてくれる貴重な存在。
相利共生の関係が成り立っているとされます。
5人目です。
「日本の伝統的な建築様式である茅葺。
そこに営巣しているのが私たちだ。
茅葺や竹など、筒状のものに営巣するので、
管住性ハチと人間たちに呼ばれている。
ここに営巣するのは、実は私たち狩りバチだけでなく、
ハナバチも行う。
ハナバチとはとても離れた種と思われがちだげ、
系統的には遠くはない。
管住性の仲間の種は、日本でもおそらく
狩りバチで100種、ハナバチで15種をこえるとされる。」
声の正体はこのかた。
正解は↓↓↓↓
サイジョウハムシドロバチ。
子供の餌にするためにミノゾウムシの幼虫を巣に運んでいる。
管住性ハチは、ススキのように細い筒では、
営巣するのも小型のハチ。
竹筒のように太ければ、大型のハチが営巣します。
また明るい場所ではドロバチ類が多く営巣し、
暗い場所ではクモバチ類が増えるとされます。
理由は餌にあり、
ドロバチ類の主な餌である鱗翅目の幼虫は、
明るく、草木の種類が豊富なところにいるため
それを狩るドロバチ類が多くなります。
暗いところでは、ドロバチ類などはあまり営巣しなくなるため、
相対的にクモバチ類の割合が増すということになります。