この本は、このような方におすすめです
✔ 鳥にまつわる豊富なテーマをコンパクトにまとめた本を探している
✔ 遺伝子、進化など鳥類の最近の話題を多く掲載した本が欲しい
✔ 項目ごと断片的な解説でなく一連の読み物=ストーリーで理解できる本がいい
✔ 学術書は難しいが、その入門編となる本を探している
✔ 文章だけでなく豊富な写真と図解を通して理解できる本がいい
鳥類に限らず、生物を理解するには、多くの視点から見ることが大切ではないでしょうか。
また最新のホットなテーマに触れることは、知見を広げ養うことを助けてくれるはずです。
そのようなコンセプトを踏まえ、本書では以下の6つのことを扱いました。
- 鳥類の分子系統地理
- 鳥類の進化
- 鳥類の認知生態
- 鳥類の社会行動の進化
- 鳥類の保全遺伝学
- 鳥の歴史と考古学
幅広いテーマを19章によって、それぞれの専門家が自身の研究を元にくわしく解説しています。扱っている鳥類は地理的に見ても、北海道から本州・伊豆・小笠原から琉球列島まで、あらゆる地方の種類を解説。本書を手に取ることで、鳥の魅力的で不思議な世界を見渡すことができます。また本書の最大のポイントひとつは、本書の編者と言えるでしょう。
編者の紹介
編者は、鳥類研究の先導者である上田恵介先生(立教大学名誉教授)。鳥類ファンなら多くの方がご存知でないでしょうか。「鳥類研究のメッカ」とも言われる立教大学の上田研究室のボスであり、本書は多くの教え子をもつ上田先生だからできた本です。
1950年大阪府枚方市生まれ。府立寝屋川高校卒業後、大阪府立大学農学部で昆虫学を学ぶ。1984年、大阪市立大学より理学博士号取得。1989年、立教大学に助教授として、2000年より教授。
日本野鳥の会副会長、研究誌『Strix』の編集長。狭い意味での専門は鳥の行動生態学だが,研究のキーワードは進化。ローレンツ以降の古典的動物行動学から進化心理学(人間社会生物学)までを広く研究。擬態や種子散布の進化など,生物同士の共進化にからむ進化生態学も得意分野。最近は感覚生態学も興味の範囲。
本を読むと受けられるメリット5点
- 鳥類研究の最先端を知ることができます
- いま大学研究室の現場で特に注目を集めているテーマを知ることができます
- 各研究者が、どのように自分の研究テーマに関わるようになったか、研究する上での困難ややりがいを知ることができます
- それぞれの鳥がどのように遺伝子レベルで進化してきたのか、その詳細を知ることができます
- 分子系統地理、進化、認知生態、社会行動の進化、保全遺伝学、鳥と考古学など、鳥類研究におけるホットな話題を網羅的に理解できます
この本の最も大きな特徴は、たくさんの鳥たちを取り上げていることが挙げられるでしょう。鳥の魅力のひとつに、多様な種類がいるという点は、外せないポイントになっています。多様な鳥たちがみせるで美麗な羽模様、巣作りや繁殖のバリエーション、大空を我が物かとするような渡りの複雑なコース、人里でもさまざまにみせる愛おしい表情など、鳥たちのたくさんの生活史からみられるその魅力は尽きることがありません。
本書で取り上げている鳥たちをざっと挙げてみますと、
アカガシラカラスバト、アカコッコ、アデリーペンギン、イイジマムシクイ、イオウトウメジロ、イソヒヨドリ、オオウミガラス、オーストンウミツバメ、オーストンヤマガラ、オオミズナギドリ、オオルリ、オガサワラガビチョウ、オガサワラカラスバト、オガサワラカワラヒワ、オガサワラマシコ、オナガミズナギドリ、ガラパゴスコバネウ、カワセミ、カワラヒワ、キビタキ、クロアシアホウドリ、コクホウジャク、ショウジョウコウカンチョウ、スズメ、ツバメ、トラツグミ、ナミエヤマガラ、ニシツノメドリ、ハシナガウグイス、ハシブトウミガラス、メガネウ、メグロ、ルリビタキ……
ここに挙げたものはほんの一部ですが、本書が非常にたくさんの鳥を収録しているのがわかってもらえると思います。このようにたくさんの鳥を扱っている本書ですが、以下のように5部19章に整理しています。
もくじ
第1部 認知生態
第1章 鳥がみている色彩の世界
第2章 カラスの認知機能
第2部 鳥の色彩と社会行動の進化
第3章 鳥の色彩と遺伝的背景
第4章 カエデチョウ科鳥類の性淘汰と雌雄コミュニケーションの進化
第5章 EPC今昔物語
第3部 分子系統地理
第6章 分子系統樹から解き明かす琉球列島に固有な鳥たちの起源
第7章 DNA・外部形態・音声の違いから明らかとなったメボソムシクイ上種の謎
第8章 DNAからみえてきた伊豆・小笠原諸島の鳥の起源
第9章 DNAからみた北海道のスズメの遺伝的特徴
第4部 鳥の歴史と進化を探る
第10章 古文書の「丹頂」からタンチョウを探る
第11章 遺跡から出土するアホウドリの骨の動物考古学と考古鳥類学
第12章 化石から類推する鳥類の繁殖方法の進化
第13章 空中と水中でのストローク
第5部 保全遺伝学
第14章 アホウドリ復活への歩みと保全遺伝学
第15章 ライチョウをめぐる遺伝的問題
第16章 絶滅危惧種保全と外来種管理への保全遺伝学的アプローチ
第17章 渡り鳥マガンの遺伝構造からみえるフライウェイの保全管理
第18章 希少猛禽類2種の遺伝的多様性を比較する
第19章 病原体とともに空を飛ぶ運搬者
業界初のサービス! 内容すべてがみられるオンライン版付き
また購入者は巻末のパスワードを使って、本書の内容をオンライン版のコンテンツとしてPCやスマホで見ることができます。本ではどうしても写真がモノクロであったり、小さくて細部が見えないなど、鳥たちがもつ豊かな情報に触れられず、もどかしい経験をした人も多いのではないでしょうか。
オンライン版では、鳥たちの美しい色彩、すがた形などを高解像のカラーでご覧になれます。ぜひご利用ください。
また、本書は432ページと大量ページの本になっていますので、移動中に読書というのは難があるかもしれません。各デバイスでも閲覧できることは、読書の幅、鳥たちの魅力に触れる機会を大いに増やしてくれます。