はじめに―双子の危機
1990年代のアジア通貨危機を世界に向けて最初に知らしめたのは、1997年7月2日、タイ金融当局が事実上ドルにペッグされていたバーツをフロート〔マーケットの変動をもとにレートの決定をすること〕させ、直後にバーツが大幅な下落に見舞われた事態である(図1)。しかしこれは序曲に過ぎなかった。タイ・バーツの下落後たちまち近隣の東南アジア諸国の通貨に伝播し、マレーシア・リンギット、フィリピン・ペソ(いずれも7月半ば)、インドネシア・……
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