第1章 進化と現生生物
1.遺伝子の進化
2.新しい遺伝子のうまれかた
3.全ゲノム重複で何が起こるか―脊椎動物と3度の全ゲノム重複
4.系統樹と生態
5.現生生物から推測される進化
第2章 サメの不思議と生態:軟骨魚綱は原始的な魚なのか?
1.軟骨魚類と研究の現状
2.生きる化石としての軟骨魚類
3.脊椎動物の体液調節の進化―軟骨魚類の位置づけとは
コラム① 絶滅した魚たち
第3章 硬骨魚類の多様な生存戦略がもたらす進化
1.古代魚と化石魚類
2.含気器官の獲得と呼吸
3.鰭の形態多様性と水中移動
第4章 閉ざされた湖で起こった進化 アフリカンシクリッドの世界
1.シクリッドの多様性創出とその要因
2.DNAに刻まれたシクリッドの多様性の「歴史」
3.DNAに刻まれたシクリッドの多様性の「メカニズム」
4.進化の実験場―ビクトリア湖
5.これからの研究展望―全ゲノム比較から迫るシクリッドの適応放散
第5章 ゲノム編集技術による魚類研究の新展開
1.魚類における逆遺伝学的研究手法とその歴史― 「順」遺伝学と「逆」遺伝学
2.遺伝子を足す・引く・書き換える
3.外来遺伝子を導入する―遺伝子組換え技術の確立
4.内在遺伝子の機能阻害―アンチセンスオリゴとTILLING
5.ゲノム編集技術とは?
6.CRISPR/Casシステム―高効率かつ簡便なゲノム編集ツールの登場
7.小型魚類におけるゲノム編集技術の開発―魚類で何ができるのか?
8.多様な魚種への適用―進化生物学への展開
9.水産重要種への適用―経済形質の分子基盤の解明と分子育種への応用
第6章 海と川をいったりきたり 浸透圧調節のしくみ
1.水圏―魚類が生息する環境
2.広塩性魚と狭塩性魚
3.真骨魚類の浸透圧調節
4.生活史と浸透圧調節機構
5.浸透圧を調節するメカニズム
コラム② とんでもないpHに住む魚 173
第7章 様々な淡水環境に適応進化したトゲウオたち
1.海から淡水域への進出
2.淡水域へ進出したイトヨ―ティンバーゲンの魚
3.適応進化をもたらす遺伝的変異
4.海から出て失われた防御形質―トゲと鱗板
5.食べ物への適応
6.光環境への適応
コラム③ 適応進化に関わる候補遺伝子や候補領域を絞り込むアプローチ
第8章 電気を感じ、電気を出す魚たち
1.電気を感じる能力
2.電気感覚の起源
3.電気感覚の消失と再獲得
4.電気受容器の形と働き
5.電気受容器はどこから来た?
6.発電する魚と人との長~いお付き合い
7.ダーウィンの悩みの種
8.電気器官
9.電気器官に発現する分子
10.電気感覚と発電能力が組合さって弱電気魚が進化した
11.能動的電気定位と電気コミュニケーション
第9章 魚の味覚と摂餌行動の多様性
1.魚類の味覚
2.味蕾の構造
3.味細胞で発現する受容体と味に対する感受性
4.味蕾から神経への情報伝達
5.口の奥からヒゲの先まで分布する魚の味蕾
6.味蕾を支配する神経
7.味覚情報を処理する脳領域
8.真骨魚類の歯
9.多様な味覚系と摂餌行動
コラム④ 味細胞のシグナル伝達のしくみ
第10章 魚から見えてくる哺乳類と魚の繁殖システムの違い
1.生命をつないでいく繁殖
2.脊椎動物の脳下垂体からの全身性ホルモン制御―ホルモンとは、脳下垂体とは何か
3.生殖を司る視床下部GnRHニューロンとゴナドトロピン
4.哺乳類での常識と異なる直接投射
5.直接投射ゆえにできる実験
6.ゴナドトロピン遺伝子と発現細胞
7.魚の生殖制御の研究から見えてきた脊椎動物生殖制御の原理原則
8.魚の生殖関連ホルモンの哺乳類と違った使い方と原理原則
9.魚や陸上生物の多様な繁殖―多産・少産、卵生胎生などの戦略
コラム⑤ なぜウナギは完全養殖が難しいのか
コラム⑥ GnRHの発見と今の技術
第11章 魚の卵の膜とそれを分解する酵素の共進化
1.いろいろな性質の卵
2.卵膜はどのようにつくられるのか
3.孵化時に卵膜を分解する孵化酵素
4.魚類の進化過程における卵膜と孵化酵素遺伝子の共進化
コラム⑦ 陸上進出と羊膜の獲得
第12章 卵生と卵胎生 魚類の多様な繁殖戦略
1.卵を産む?赤ちゃんを産む?脊椎動物の繁殖戦略
2.多様で不思議で魅惑的な魚類の繁殖様式
3.胎生魚の最大派閥“カダヤシ目”
4.グーデア科胎生魚を実験動物として研究する
5. 四方山話―繁殖が個性的な魚たち
第13章 オスとメスを決める遺伝子の意外な多様性とオス化メス化の変わらない骨組み
1.真骨魚類の多様な性
2.遺伝性決定と環境性決定
3.性決定のマスタースイッチ―性決定遺伝子
4.実験メダカとその近縁種
5.メダカの多様性から性決定遺伝子の進化を探る
6. Dmyの発見がもたらしたもの―性転換の実体解明や性決定の多様性研究への展開
7.真骨魚類の性決定遺伝子
コラム⑧ 実はかなり古い!? メダカの性研究
第14章 魚にも「思春期」がある雄性ホルモンが司るオスに特徴的な二次性徴
1.繁殖に直接的、間接的に関わる形質―ダーウィンの性淘汰(性選択)説とその実証の歴史
2.配偶者選択の進化
3.オスらしさの立役者―雄性ホルモン(アンドロゲン)とその受容体の働き
4.魚の二次性徴形成メカニズムについての研究
第15章 性を換える魚の世界 魚はいかにして性を換えるのか?
1.性転換の3つのタイプ―性はどちらに変化するのか?
2.魚は性転換時に生殖腺をどのように変化させるのか?
3.性転換する時に魚の体内でなにが起こっているのか?
4.性転換を分子の観点から明らかにする
5.脳の性転換
6.なぜ魚は性転換するのか?
7.性転換研究の今後の展望
コラム⑨ 性転換する生き物たち
コラム⑩ 性転換する哺乳類!?
コラム⑪ 性転換魚を研究に用いる難しさ