今回から現在制作中の本『スポーツの世界史』の中から、興味深い話題を紹介していこうと思います。
今回はスポーツという言葉の由来を紹介していきます。
動画の最初の絵はロンドン近郊、12世紀頃、動物どうしを戦かわせて楽しんでいる人たちを描いたものです。
冬のほとんどの祝祭日は、動物同士の戦いが楽しまれていました。イノシシ同士、あるいは牛や熊と犬を掛け合わせて行なわれていたようです。
もしも狩猟権を持つ身分の高い者であれば、森に入って鷹や猟犬を使って狩りを楽しむが、庶民は動物同士の戦いを楽しんでいたようです。
スポーツという語の由来を探ると、起源はラテン語の運ぶという意味の語とされています。
ラテン語のデポルトという語が、心の状態を指す語に変化して、古フランス語ではデポールと言い表されるようになりました。そして、意味は愉しみというニュアンスに変化した。
そのデポールはヨーロッパ大陸からイギリスに伝わると、ディスポルトと言い表されるようになった。チョーサーの有名なカンタベリー物語でも、この語が見受けられます。
やがて接頭辞のディが失われて、スポルトという、今の呼び名に近い形が15世紀頃にできました。
ここでの意味は愉しみ、気晴らしといった意味が普及していきました。
その後シェイクスピアなどの作品の中にもスポーツという言い方が見られるようになりました。
ただ、まだこの段階では、戦争は国王のスポーツ、など、今でいうスポーツの意味よりかなり広い範囲を含んでいました。
まとめると、語の形は最初のデポルトから変化していったが、愉しみという意味は語が変わっても変化しなかったようです。
スポーツとは、近世のイングランドやスコットランド、フランスの人たちにとって、特定の行為ではなく、あらゆる愉しみを含む曖昧な語であったことが言えます。