ムスリムのスポーツ選手といえばモハメド・アリ、本名カシアス・クレイを思い出すだろう。
1964年に名前まで改めたように、イスラームに改宗したこともよく知られている。
ムスリムのスポーツとしては伝統競技がいくつか伝えられている。
まず面白いのは、預言者ムハンマド自身が妻と競ったと言われる徒競走である。
ムハンマドは10人を超える妻をめとったが、その中でも晩年特に愛したのがアーイシャであった。アーイシャは、幼くしてムハンマドの妻となり、ムハンマドに連れ添い、ムハンマドの最期を看取った。なお、アーイシャの父は、ムハンマドの死後に信徒の指導者(初代正統カリフ)となったことで知られている。さてアーイシャだが、生前のムハンマドと、2回、徒競走をしたと言い伝えられている。何でも、1度目はアーイシャが勝ち、2度目の対戦ではふくよかになったアーイシャにムハンマドが勝ったのだという。ムハンマドとアーイシャの人柄やふたりの仲むつまじい関係が垣間見えるようではないか。この言い伝えは、女性のスポーツ参加に関連して、今日でも言及されることがある。