ロシアではサッカーと並んで人気が高いアイスホッケーだが、普及した時期はサッカーよりも遅い第2次世界大戦後である。1946年に始まったソ連リーグがその普及の原動力となった。ソ連リーグで強豪だったのはCSKAで、45年の歴史のうち31回優勝している。
アイスホッケーのソ連代表チームも世界に名をとどろかせた。1956年から88年までの計9回のオリンピックで7度の優勝、1954年から91年までの38年間で世界選手権を19回制覇と、北米のプロチームを除けば、まさに世界最強のチームだったのである。
そんなソ連チームがカナダのプロ選手と対戦することになったのが、1972年のスーパーシリーズだ。プロがアマチュアに負けるわけがないと考えたカナダ選手たちは、ヘルメットを着けないむき出しの頭で試合に臨んだ。だが、7対3で初戦を制したのはソ連チームだった。全8戦が行なわれたシリーズは結局、カナダの勝利(4勝3敗1引き分け)で幕を閉じるのだが、記念すべき初戦の勝利はロシアのスポーツ史の中で今も燦然と輝いている。