足蹴り木製二輪車 ドライジーネを発明したのは、19世紀初頭のドイツだったが、ペダル式自転車 ヴェロシペードの量産化に成功したのは、1861年のフランスだった。
都市間自転車ロードレースはこのヴェロシペードを用いて始められ、1869年のパリ・ルーアン間レース(123キロ)を皮切りに、瞬く間にフランス全土に広まった。
1891年のパリ・ブレスト・パリ間レース(1200キロ)では、ギアやベアリング、チェーン、空気入りタイヤなどを装着した現代的な自転車が登場する。
『ル・プティ・ジュルナル(小さな新聞)』が主催したこのレースに対抗し、『ル・ヴェロ(自転車)』誌は同年に、ボルドー・パリ間レース(600キロ)を立ち上げた。
1903年には、マイヨ・ジョーヌで有名なツール・ド・フランスが始まった。これは『ロト(自動車)』誌がライバル2誌によるレースに対抗してつくったものだった。高校野球の夏の『朝日』と春の『毎日』に先行した、フランス版メディア・スポーツの誕生である。