(この記事は2020年5月4日に一色出版メルマガとして配信したものです)
昆虫のなかでも、
ハチには特別の魅力を感じます。
有剣類の獰猛さ、
セイヨウミツバチなどに見られる
社会性の巧みさ、
そして、寄生バチに見られる
プロポーション、色模様のうつくしさが
挙げられないでしょうか。
今回は、寄生バチと狩りバチの中で、
とくに美しさが印象的なハチBest3を
『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』をもとに紹介します。
おはようございます。
一色出版の岩井峰人から、
メルマガをお届けしています(毎週月曜の更新)。
Best3のうちのひとつめは、
オナガバチの仲間(Megarhyssa sp. near jezoensis)。
いわゆるハチらしい黄色と黒のまだら模様をもち、
名前の通り、長い尾が、どこか色っぽいプロポーションを
印象づけています。
オナガバチは木材を痛めるキバチ類の天敵であり、
木材中のキバチ幼虫に寄生します。
寄生方法は、幼虫に外部寄生し、殺傷寄生することが知られています。
産卵の仕方もおもしろく、一見の価値ありです。
まず、長い産卵鞘を木に突き立てます。
次に、その産卵鞘をリードにして、産卵管を木の奥へと、
ぐいぐい挿入していきます。
ひねりながら効率よく挿入していく様子は、
効率よく挿入するため。
そういう印象を受けますが、
じつは木のなかのキバチ幼虫を探して、
角度をさまざまに変えているとのこと。
筆者の蔵滿博士が撮った動画もありますので、
Best3のうちのふたつめは、
光沢感が美しい、イラガセイボウ。
その他の通り、イラガ幼虫に寄生します。
繭の中の幼虫や蛹に寄生した後、
大あごで穿った穴を埋め戻す習性をもっています。
このような、産卵環境の加工など、
寄生における修飾行動は、
スズメバチ上科をはじめ、
多くの科でみられるようです。
詳細は本書で多くの事例を用いて紹介しています。
Best3のうちの3つめは、
コガネコバチの一種、Sphegigaster hamugurivora。
こちらもメタリックな発色に目がいきますが、
同時に、
筒のように細くなった腹部が印象的ではないでしょうか。
このような細い部分は、
・産卵管を様々な角度で使用できる
・自由に翅を動かし飛翔できる
ことを実現させたと言われます。
2点目については、
翅を動かすためのさまざまな筋肉が胸部において、
縦横に走っていることが、下の動画からわかります。
(図6.コガネコバチ科の一種の胸部の外骨格と筋肉系。)
動画はこちらから
『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』は索引も完成し、
大詰めです。
推薦の言葉は、九大の丸山宗利さんに今、準備してもらっています。
表紙は昆虫イラストのプロフェッショナル、
オオジカオリさん(https://twitter.com/ojikaori)のオリジナルイラスト。
なお、ハチたちの綺麗な写真が手元にたくさんありますが、
紙の本ではモノクロで掲載になると思います。
巻末のパスワードをつかったオンライン版では、
綺麗なカラー写真、動画も視聴できますので、
本を買った際には、オンライン版を利用することを、
お勧めします。
【予約注文、受付はじめました】
『寄生バチと狩りバチの不思議な世界』
(前藤薫編/350ページ/2800円+税)
完成が見えてきまして、予約注文の受付をはじめました。
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一色出版では、
動画を含めたオンライン版で、
内容すべてが読める本を刊行しています。
文章だけでは伝わらない臨場感を、
動画で視聴できます。
また、本では白黒で小さくなった写真も、
カラーの高解像写真で見られます。
お手元のスマホやPCで、
いつでも生物の不思議さを体験してみてください。